月の欠片
洸太の存在
洸太と一緒に私の家に帰った。
彼氏以外の男性を部屋に上げたのは初めてだったけど、
急に愛美に呼ばれてもいいように家にいるのが一番だと思った。
たくさん彼氏との写真が飾ってある部屋に洸太を招くのは
とても抵抗を感じたけれど、
洸太は何も言わずにいてくれた。
『愛美ちゃん、なんて言ってた?』
ベッドに入り、私の髪を撫でながら洸太は聞いてきた。
私は愛美に聞いた全てを話せなかった。
愛美が私にしか話せなかった事を、
人に話してはいけないと思った。
『…うん、今までの愛美の人生を全部話してくれた…今日来たお客さんの事も…それで圭輔くんと別れるって…』
洸太は髪を撫でたまま、
『話したくないことは無理に話さなくていいから…』
そう囁いた。
『私…どうしてあげる事も出来なかった…愛美の辛さもわかってあげられなかった…説得する事も……』
洸太は大丈夫だよって、ギュッと抱き締めてくれた。
私はまた涙が止まらなくなった。
『何も知らない俺が言うことじゃねぇけど、二人の事は二人にしかどうにも出来ないよ…梨花に話せて愛美ちゃんは嬉しかったんじゃねぇの?』
そう言って、朝までずっと抱き締めてくれていた。