月の欠片


いつもより早くキャバクラへ向かった。


じっとしていられなかった。


いつもならタクシーを呼ぶのに、


早く家を出すぎたから歩いて向かった。



途中、愛美に何度も電話しようと思ったけど


怖くて出来なかった。




店に入るとボーイ達が驚いた顔で私を見た。


いつも遅刻ギリギリな私が30分前に来たんだから

当たり前かも知れないけど…



『梨花さん、今日早いっすね…どうしたんですか?』

『ううん、ちょっと…今日、愛美から欠勤出てない?』


珍しくボーイが話し掛けてくれたから、


愛美が休まないか聞いてみた。


『愛美ちゃんっすか?…欠勤は出てないですよ?何かあったんすか?』


『…ううん、何にも』


(出てくるんだ…良かった)


ホッとした瞬間、別のボーイが口を挟んだ。


< 114 / 161 >

この作品をシェア

pagetop