月の欠片


月曜日の朝、彼氏は朝から仕事だった。


『今日の夜までいてくれる?』


本当は、夕方には帰ろうと思っていた。


『…ん、わかった。じゃあ夜まで居る』


そう言って、彼氏を見送って、


一日中彼氏が帰って来るのを待っていた。


洗濯して、掃除して、夕飯の支度をして…


(主婦の人って、毎日こんな生活なのかな?)


それもいいな…なんて思っていた。


夕飯が出来上がる頃、彼氏が足早に帰って来た。


『ただいまっ!!!』


手にはシュークリームを持っている。


『フフッおかえり』


その姿が愛しく見えた。


『いい匂い〜帰って夕飯あるの感激だね!!』


本当に嬉しそうな顔をするから、帰りたくなくなってしまった。


『明日の昼に帰る』


私がそう言うと、

やったー!とはしゃいで私に抱きついた。



一緒に夕飯を食べながら、彼氏が真剣な顔をして、


『梨花ちゃん、来年になったら本当にこっちで暮らさない?』


そう言った。


私は正直少し戸惑ったけど、


『…ん、じゃあ店長と相談してみるね』


そう答えていた。



彼氏は本当に嬉しそうな顔をした。


(この人には私しかいないんだ…)


そう思った。



その夜は彼氏に抱かれた。


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