月の欠片


ロッカーを出ると、ボーイや女の子達がロッカーの前で私達の会話を聞いていたみたいだった。



『あのさ、愛美も色々あって辛いの…お願いだからみんな変な噂やめて?私の客も取られてもないし、客と寝たりとかそんなのないから…』



私はそう言った。


みんなは返事はしなかったけれど、


黙って私の声を聞いていた。



(これで大丈夫だろう…)



今日はもう仕事するような気にはなれなかった。


店長に愛美と話した事を報告して帰らせて欲しいと頼んだ。


3日間も休んでいたから、お客さんから問い合わせの電話がかかっていて、


今日は出勤するからって予約が入っているからダメだと言われた。




私は仕方なく最後まで働いた。


終わった時にはクタクタになっていた。



(洸太、何してるかな…)


私は洸太の事を考えていた。


< 143 / 161 >

この作品をシェア

pagetop