月の欠片
『ノブおはよぉ〜』
『あれっ?梨花、いらっしゃ〜い』
ノブの店は珍しく空席が目立つくらいに静かだった。
『梨花、久しぶりじゃん!1ヶ月振りくらいじゃねぇ?』
『そうだねぇ、洸太と来た時ぶり…後で、また洸太も来るよ!』
ノブはカウンターにコウスターを置いて、洸太の席も用意する。
『なぁ、梨花』
急にノブが小声で話し掛けてきた。
『ん、何?』
『…お前さぁ、こないだうちに来た後、洸太とやったろ?』
『ぶはっっ!』
ノブの言葉に思わず、飲んでいた水割りを吹き出してしまった。
慌てておしぼりで拭きながら、
『な、何で?』
って聞くと、ノブはニヤニヤしながら
『やっぱり…お前らから変な空気出てたもん!俺、そういうの匂い嗅ぐの得意だから』
そう言った。
『ノブには嘘つけないね〜って、私の周りの人間は誰も知らないから言わないでよ!!』
『バーカ!そんな事いちいち言わねぇよ!』
私とノブは大笑いしながら乾杯した。