月の欠片
揺れる気持ち
『なぁ…梨花?』
ヒンヤリとしたベッドでシーツに包まれながら、
洸太と私の体温を冷ましていたとき、
洸太が天井を見つめながら言った。
『なぁ…彼氏と別れないの?』
『えっ?』
私は突然投げかけられた質問に答えられずにいた。
昨日は彼氏に抱かれて幸せな気持ちになったばかりだったのに、
次の日には、洸太に抱かれている。
でも私には、どっちも大切な存在だった。
彼氏は愛してくれているし、
私も彼氏のことを愛していた。
でも、彼氏は私のことを知らない。
洸太は、私のことを好きでいてくれてるのは分かる。
近くにいて、同じ夜の世界にいて解り合えることも多い。
洸太といると楽しくて、自然と笑顔になれる。
彼氏といると優しくて、自然と気持ちが癒される。
彼氏と別れて、洸太を選ぶなんて、今まで考えたこともなかった。