月の欠片
でも、来年になったら彼氏がいる街に引っ越して
一緒に住もうって約束をした。
あの時、私は確かにそれを幸せだと思った。
そうしたいって望んだ。
じゃあ、洸太の事は?
寂しいとき、辛いときに気持ちを埋めてくれるだけの存在?
洸太といるときは洸太が好きだと思う。
このまま、ずっと洸太が隣にいてくれたらって思う。
私は自分の気持ちがわからなくなった。
しばらく黙り込んで、そんなことを考えていた。
『ゴメン、梨花…俺、別に焦ってないから。梨花がそのうち俺を選んでくれるって信じてるから…』
洸太はそう言って、私に背を向けるように寝返りを打った。
(…私、洸太のこと傷付けてる?)
私は洸太の背中に抱きついて、
『ゴメン…私、洸太のこと好きだよ?』
そう言った。
洸太は背を向けたまま、何も言わずに小さく頷いた。
私は急に寂しい気持ちになった。
洸太が感じている寂しさや不安やもどかしさが、
洸太の背中から伝わってきているかのような気がしていた。