月の欠片
いつのまにか、洸太の背中に抱きついたまま眠っていた。
洸太も小さく寝息を立てながら眠ってる。
私は、洸太に言われたことを考えていた。
彼氏と別れて洸太を選ぶ。
彼氏を選んで洸太とはもう会わない。
その二つの選択肢が、私の頭の中で交差していた。
洸太が自分から意思を言葉にしたのは初めてだった。
好きだとか、付き合って欲しいとか、
そんな事も言ってもらってない。
だから正直、洸太が私を自分の彼女にしたいとか
どんなふうに思ってるのか知らなかった。
最初に洸太が言った、
『梨花に任せるよ』
の意味がわからなかった。