月の欠片
距離
洸太が私に初めて好きだと言った、あの日から
私と洸太の距離は近付いたかのようにも思えたけど、
私は何故か少し距離を置くようになった。
洸太とも、愛美とも少しずつ少しずつ離れている気がしていた。
これ以上、近付いちゃいけないような気がしていた。
そんな風に過ごしていたら、
いつの間にか時が流れて、季節は夏になろうとしていた。
洸太とは月に数回だけ会うようになった。
『梨花、今日の営業終わったら話あるんだけど』
店長に突然呼び止められた。
『営業終わったらですか?…わかりました』
私は相変わらずの毎日を過ごしていた。
何も決められずに、前にも進まないままで。