月の欠片
それから三人で色々と話してたけれど、

同級生が集まってるわりには

初対面に近いような、微妙な雰囲気だった。



(なんで私を連れてきたんだろう?)



哲也と宮川洸太の会話を聞きながら、

私はボーっと窓の外を見ながら、

グラスを指で撫でていた。




『相澤さんも夜働いてるんだね?店どこ?』

そう聞かれて名刺を渡す。


『へぇ〜キャバクラなんだぁ!何年やってるの?』


(なんでそんな事聞くんだろ─)


『今、6年目。高校卒業してすぐからだよ。』


─私は昔から人見知りが激しくて、

仕事以外で知らない人と話すのが苦手だった。



(あ〜愛想悪いと思われてるんだろうなぁ…)



『俺らの周りって水商売のヤツ少ねぇから嬉しいよ!これから仲良くしようなぁ〜!!』


そう言って、子供みたいな顔で笑って

宮川洸太は手を差し出した。



『…うん、よろしく。』



私は何故か妙に緊張しながら、

その手を握り返した。




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