月の欠片
真希
─いつものように、また非常階段で煙草に火をつける。
いよいよ年末ムード一色で、街にも活気が溢れてる。
あちらこちらで輝くクリスマスのイルミネーションに、
若いカップル達が歓喜の声をあげる。
(明日、クリスマスイブかぁ…)
今年は、暦がちょうど土日にクリスマスが重なって、
仕事は休み。
毎年、彼氏には申し訳ないけどクリスマスも誕生日も、
大切なイベントは全部仕事だった。
(何あげようかなぁ〜?)
お客さんがたくさん入ってる店から抜け出し、
そんな事を考えながら、
少し雲に滲んだ月に向かって、煙りを吐き捨てる。
(あと3日働けば、正月休みかぁ…)
頭の中はクリスマスよりも正月休みの事でいっぱいだった。
(たくさんバーゲンで買い物しよっと!)
煙草を吸い終わって、店に戻った。