月の欠片
慌ただしい毎日の中で、
私は哲也の言葉を忘れていた。
─同窓会─
クリスマスも終わり、いよいよ仕事納めの日の夕方─
─ピリリリリリ─
忙しい時間帯に鳴る携帯。
相手も確認せずに慌てて出る。
『もしもし〜梨花?元気ぃ?』
電話の向こうの声は、真希だった。
真希は中学、高校とずっと一番仲の良かった友達。
『あぁ、真希?こんな時間にどうした?』
真希は高校を途中で辞めて、
私より先に水商売で働いてた。
水商売も私より先に辞めて、今は男と一緒に住んでいた。
真希が水商売を辞めた頃から、
連絡がどちらからともなく少なくなって、
最近は、ほとんど話していなかった。