月の欠片
真希が宮川洸太から聞いた道を頼りに

会場まで歩き出す。


向こう側から、手を降る男の人が見える。



『おーぃ!こっち〜!』



私は真希が洸太に電話してくれて嬉しかった。


会場まで短い距離だけど、

迎えに来てもらえるなんて!!



私は完全にテンションがおかしかった。



会場に入ると、哲也もいて幹事の仕事に忙しそうだった。



もう皆集まっていて、私と真希の席は男の子達のテーブルにしか空いてなかった。



真希が

『どうせこっちにしか知ってる子いないからいいじゃん。』

って席に着く。




私はキョロキョロしながら周りを見渡す。



(なんか全然知らない人ばっかりだなぁ…。)



私は昔から、人を覚えるのが苦手で、

ほとんどの人の事が思い出せなかった。


真希は仲良かった男の子達としゃべってる。



『相澤さんって今何してるの?』

から始まって、グラスにビールがどんどん注がれて行く。



(同級生とは言え、知らない人にお酌するなら仕事と変わらないなぁ…)



職業病なのか、空のグラスを放っておけない私は、

いつの間にかビール係みたいになっていた。





『─え〜皆さん、今日はお集まり頂きありがとうございます。─』


マイクの先には宮川洸太がいた。



(遠いなぁ…全然話せないや。)



気付くとずっと目で追っていた。



よく見たら、かなりの数の人が集まっていた。


さすがに大きい中学校なだけあって、


盛大な同窓会だった。



先生方も何人か来てくれていた。




(こんだけ集めるのに、どんだけ準備したんだろぉ?)



宮川洸太を目で追いながら、

仕事しながら準備してきた事を思ったら感動した。



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