月の欠片

お店はカウンターだけの静かな雰囲気で、

お客さんは私達と男の人が一人…



チラッと横目で見ると、

そこにいたのは、


【宮川洸太】だった。




私に気付いた宮川洸太は、

『相澤さん?久しぶり〜!こんなとこで会うなんて偶然だね。』


って気さくに話かけてくれた。



『あっ…うん、…同窓会以来だよね?』



続けて宮川洸太は、

『明後日、俺の誕生日なんだよね。それで今日は哲也に営業しに来たんだ〜!』

悪戯っぽく笑いながら、

『相澤さんも、お祝いに来てよ!』



って言ってきた。




(誕生日なんだぁ…私と一緒で早生まれなんだ…)



私は無意識に、

『明日、うちの店に営業に飲みに来て。指名してくれたら行ってあげる。』


って言ってしまった。



(あ〜もうっっ!絶対に嫌な女だと思われたぁ〜!)



後悔しつつも、お客さんと一緒にいて

弁解も出来ないまま、


それっきり話さずに店を出た。




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