月の欠片
あれから、5日が経った。
カレンダーは気付けば2月になっていた。
私は、また非常階段にいた。
『…梨花さぁん、煙草もらってもいいですかぁ?』
『あぁ…どうぞ。』
そう言って、煙草を1本渡す。
『ありがとうございますっ』
そう言いながら、もらった煙草に火をつけている。
この子は、店に入ったばかりの新人の愛美(エミ)。
普段、店の女の子達と仕事中以外に接さない私に、
何故かくっついて離れない。
もう3日もこうして非常階段にまでついてくる。
(一人になる為の場所だったのになぁ…)
そう思いながらも嫌な気はしない。