月の欠片


あれから、5日が経った。

カレンダーは気付けば2月になっていた。



私は、また非常階段にいた。




『…梨花さぁん、煙草もらってもいいですかぁ?』


『あぁ…どうぞ。』



そう言って、煙草を1本渡す。



『ありがとうございますっ』


そう言いながら、もらった煙草に火をつけている。



この子は、店に入ったばかりの新人の愛美(エミ)。





普段、店の女の子達と仕事中以外に接さない私に、

何故かくっついて離れない。




もう3日もこうして非常階段にまでついてくる。



(一人になる為の場所だったのになぁ…)


そう思いながらも嫌な気はしない。




< 49 / 161 >

この作品をシェア

pagetop