月の欠片
愛美


お客さんが帰り、店長と一日の指名の本数を確認していると

見送りから戻った愛美が駆け寄ってくる。



『梨花さぁ〜ん、どぉでした?私、気になって仕事に集中できなかったですよぉ〜!!』



『コラっっ!ちゃんと接客しなきゃダメでしょ!』



とか言いながら、愛美の頭を軽くコツく。



愛美は笑いながら、



『詳しく聞くまで帰りません。』



って期待に目をキラキラ輝かせてる。



『もぉ〜仕方ないなぁ、これ終わるまで待ってて。ご飯でもオゴってやるからぁ』



『やったー!!じゃあ着替えて用意してきますっっ』



愛美は嬉しそうにロッカーに向かう。




普段、私が話さない女の子達や、店長が不思議そうに二人のやりとりを見ていた。



(やっぱ店では話にくいよなぁ…)



私もロッカーへ向かう。


着替えた愛美が私を見付けてまた嬉しそうに笑った。


『じゃあ、行こっか。』



『はいっっ!!』


< 55 / 161 >

この作品をシェア

pagetop