月の欠片
圭輔くんが帰った後、
非常階段に愛美を誘う。
二人で煙草に火を着ける。
『ねぇ…もしかして、圭輔くんに惚れちゃったとか?』
私がそう言うと、愛美は顔を真っ赤にして
『…ヤバいです!!だってめちゃくちゃカッコいいじゃないですかぁ〜!!』
(やっぱり…)
クスクスッと笑いながら、
『圭輔くん、昔から人気あって、かなりモテてたからなぁ〜若いときは結構遊んでたし…』
愛美の顔を見たら、今にも泣き出しそう。
『そんな顔すんなって〜!ちゃんと協力してあげるから!!ねっ?』
愛美は私の手を両手で掴んで、真顔で
『お願いしますっっ!梨花さんについて行きますっっ!!』
そう言って笑った。
『ちょっ!ちょっと愛美!煙草、危ないって!!』
非常階段には二人の笑い声が響き渡っていた。─