月の欠片
愛美の恋
『もしもし?リカ?』
久しぶりに聞く洸太の声。
仕事が終わって、家に帰ってから電話した。
『ん〜お疲れぇ、洸太さぁ来週どうする?』
『あぁ、テツんとこ?火曜日だったっけ…?』
『うん、今日ね〜圭輔くんが案内状持ってきてくれたんだけど・・・』
私は愛美が圭輔くんに一目惚れしたことを洸太に話した。
『マジ?じゃあ二人で応援してやらなきゃなぁ〜』
『でしょ?可愛くていい子だから絶対うまく行くと思うんだぁ〜協力してね!』
『じゃあ、オープンの時も誘ってあげたら?』
『…えっ?』
私は洸太の言葉に胸がチクって痛くなった。
ほんの一瞬、二人で行けなくなることに残念な気持ちになった自分がいた。
(愛美を応援するって決めたのに、そんな事思うなんて…私って最低だ…)
『じゃあ、愛美も誘ってみるぅ〜その日、仕事何時に終わりそう?』
『その日にならなきゃ時間見えねぇけどな…リカだって一緒だろ?』
『…うん、そうなんだよねぇ…まぁお互い終わったら電話するって感じにしようかぁ。』
『そうだな、じゃあ火曜日なっっ!…おやすみ』
『おやすみ。』
(初めて、おやすみって言ったなぁ…)
洸太の声にドキドキした。
声を忘れないうちに目を閉じて眠りについた。