月の欠片
─次の日
『愛美、おはよぉ〜』
店に着いてロッカーに直行するのが日課になった。
『梨花さん、おはよぉございまぁす』
愛美は私を見ると、いつも嬉しそうに笑う。
『ねぇ愛美、圭輔くんの店のオープン一緒に行く?』
『えっっ?何でですか?洸太さんは??』
愛美が不思議そうに目を丸くする。
『洸太に愛美の事話したら一緒に行こうって』
愛美は少し考えて、
『…私が梨花さんの邪魔すると思いますか?せっかく初めて洸太さんと二人になるのに…私はいつでも梨花さんが連れてってくれるじゃないですか』
って真剣な顔で言った。
私は、目を輝かせて喜ぶと思っていたから、
正直、驚いた。
と同時に自分を恥じた。
(昨日、洸太に言われた時…私は何て嫌な人間だったんだろう…自分の事ばかり考えて…)
『…愛美、ごめん』
『梨花さん?謝る事なんて何もないですよ?』
愛美はいつもみたいにニコっと可愛く笑った。
(愛美のほうが私なんかよりもずっと大人だな…)
妹みたいに思ってた愛美が、すごく大きく感じた。