月の欠片
『そんな事よりも梨花さん、圭輔さんのメアド教えてくださいよぉ〜』
すぐにいつもの愛美に戻る。
『電話番号しか知らないからなぁ…愛美の携帯教えていい?かけさせよっか?』
そう言うと、愛美は照れながら、
『お願いしちゃっていいですかぁ〜』
そう言いながら指で非常階段に誘う。
私達は非常階段に行って、圭輔くんに電話した。
『もしもし?圭輔くん?梨花だけど…昨日はありがとう〜ご馳走さまでしたぁ………えっ?愛美?………うん………うん……キャハハまじで?…うん……………今隣にいるから替わるよぉ』
私は携帯のマイクの部分を指で押さえて、
『圭輔くんが愛美の番号が知りたいんだって!』
って小声で愛美に言う。
『えぇ〜!!!心の準備が出来てないですよぉ!!』
顔を真っ赤にして嫌がる愛美にむりやり携帯を渡す。
『…もしもし・・・・』
愛美は固まって声が上擦って可愛いかった。
圭輔くんもどうやら愛美を気に入ったらしく、
私に電話しようと思っていたと言っていた。
(案外、話は早く進むかもなぁ…協力する必要ないかも)
私は嬉しくて電話に緊張しまくっている愛美を見て笑った。
『はい、じゃあ電話待ってます…仕事頑張ってください』
そう言って愛美が電話を切る。
『梨花さぁぁぁん!!』
愛美は泣きそうな嬉しそうなくちゃくちゃな顔をしていた。