月の欠片
その日ずっと愛美は心ここにあらずって感じで
仕事になっていなかった。
仕事が終わり、帰ろうとロッカーに向かうと
愛美が携帯を見つめながら待っていた。
『あれ?愛美、誰かと約束?』
私がわざと意地悪してそう言うと、
『梨花さんを待ってたのにひどぉぉい!!話聞いてくれないんですかぁ〜?!』
両手をグーにしてバタバタさせながら怒ってる。
『キャハハハハ何それ?じゃあ、いつものトコ行く?しかも圭輔くん呼ぶ?』
『…ハイ!!!』
店を出て、いつもの居酒屋に向かいながら圭輔くんに電話する。
『…もしもし?お疲れさま〜圭輔くん、今どこ?今から愛美とこないだ行った居酒屋行くんだけど、良かったら来ない?・・・うん、あぁ…じゃあ着いたら電話ちょ〜だい!・・うん、後でね。』
心配そうな顔で愛美が私を見る。
『今、地元だけど愛美がいるなら来るって!』
そう言うと、パァっと明るい顔に変わった。