月の欠片
─帰り道、私はぼんやりしながら、
いろんな事を考えながら歩いていた。
(昨日、店に来たばっかりの圭輔くんと
最近、知り合った愛美が付き合っちゃうなんて…
人の運命とか出会いって本当に不思議だなぁ…
二人は幸せそうだったなぁ…
じゃあ私は?
私にとって運命の人って誰なのかな…?
もう出会ってるのかな…)
さっきまで一緒にいた二人の幸せな余韻が頭の中に残っていた。
どこか羨ましいような、そんな不思議な感覚だった。
─はぁ─
空を見上げて溜め息をつく。
真っ白な息の先に、
今にもこぼれ落ちそうな三日月が浮かんでいた。
(…きれい)
三日月を見て、
私は洸太の顔を空に思い浮かべていた。