月の欠片
始まり
─火曜日─
あっと言う間に一週間が過ぎた、
あれから毎日、店に来る度に愛美のノロケ話を聞かされていた。
もともと可愛い子だったけど、
お客さんの前では人見知りするとこもあった。
今の愛美はまるで別人のようにキラキラ光っていて、
お客さんからも指名される事が増えていた。
(恋の力って凄いな…)
その代り、愛美と過ごす時間が減って少し寂しかった。
私はまた一人、非常階段で過ごす時間が増えていた。
(今日は早く終わらないと洸太との約束が台無しになっちゃうよ…)
今日は圭輔くんの店のオープンの日。
『梨花さぁん!!』
パタパタ走る足音が近付いて愛美が非常階段に来た。