月の欠片
店に戻ると待たせてたお客さんの対応に追われて、
気付けばもう閉店時間を軽く過ぎていた。
(洸太…大丈夫かな?)
心配になって腕時計に目をやると、
ヘルプで同じ席に付いていた愛美が私の様子に気付いて、
最後に残っていたお客さんをアフターに誘って店を出てくれた。
(ありがとう〜愛美)
小さく両手を合わせてゴメンってサインを送ると、
愛美は首を小さく横に振ってお客さんと歩いていく。
お客さんと愛美を見送ってから、急いでロッカーに向かう。
携帯を見ると、まだ洸太からの着信はなかった。
(…よかったぁ〜)
慌てて電話すると、洸太はまだ仕事が終わってないみたいで、
少し店で待つ事にした。