月の欠片
普段は滅多にしない化粧直しをしながら、
どんどん胸が高鳴って行くのがわかった。
(二人でどっか行くの初めてなんだよなぁ…)
期待に胸を踊らせてる自分と、
冷静を保とうとする気持ちとが
心の中で交差していた。
(それにしても早く来ないかな…洸太)
ソワソワしてると電話が鳴る。
『ゴメンな〜梨花、待たせて。今向かってるから5分くらいしたら出てきて〜』
『うんっっ!』
待ってる間に愛美にメールする。
【アフターありがとうね、今から行ってくるから!】
店を出ると洸太が寒そうにポケットに手を入れて立っていた。
『お待たせ』
久しぶりに見た洸太の笑顔に胸の奥がキュウっと熱くなっていた。