月の欠片
『お疲れ〜テツに電話した?』
『おぅ、忙しいみたいだけど席空けてくれてあるって!』
圭輔くんの店まで話ながら向かう。
洸太は変わらずポケットに手を入れたまま歩いていた。
突然、愛美と圭輔くんが手を繋いでいた姿を思い出す。
(私ってば何考えてんの?)
意味もわからず顔が赤くなった。
『寒いねぇ〜』
自分の気持ちを誤魔化しながら、冷たい手で顔を包んだ。
『おぅ、本当にさみぃよなぁ〜』
そう言う洸太の横顔を見つめていた。