月の欠片
『それにしても、珍しいよな、梨花が客以外の男連れてくるなんて。』
ノブが私達をまじまじと見てる。
『そんなことないよぉ〜ん〜あるかもぉ〜』
私は酔いが回ってきていた。
さっき、圭輔くんの店で距離が近付いたせいか、
ノブの店でも洸太との距離が近い。
すぐ目の前に洸太の顔がある。
洸太が話す度に、洸太の唇が目の前で動く。
ノブと洸太が楽しげに何か話しているけど、
私の耳にはもう会話は届かなくて、
洸太しか見えていなかった。
『梨花?大丈夫か?』
私が酔っている事に気付いた洸太が、
私の腰に手を回す。
ドキドキするのを通り越して、
ほわ〜っと宙に浮かんだような気持ちで、
洸太に寄りかかっていた。