月の欠片
洸太が行き先を告げる。
行き先は私の家の方ではなく、
洸太の家だった。
『洸太?私、大丈夫だよ?家近いし送って?』
やっとの思いでそう言うと、
『ん〜心配だし、今からそんなに寝れないだろ?寝坊するとイケないから。』
洸太の言ってる事は滅茶苦茶だった。
(まぁいっか…彼氏いること知ってるし、優しさで言ってくれてるんだよね?)
酔いと睡魔で、冷静な判断など出来なかった。
『…ん〜眠い…』
洸太の肩に頭を乗せてウトウトしていた。
『着いたぞ』
目を開けると、洸太の家の前だった。
小さい頃から見慣れた町の中に洸太の家はある。
(まだ実家住んでるんだ…)
一人暮らしじゃない事に安心して、まだ寝静まっている家にそぉ〜っと入った。
『お邪魔しまぁす』
小声で言った。