月の欠片
『梨花、寝れる?』
『ん〜大丈夫だよ』
ドキドキしてる事がバレないように、
眠たい声を出して、冷静なふりをしていた。
─ドクン、ドクン─
(私の鼓動じゃない…?)
洸太も同じくらいドキドキしていた。
『…………』
長い間、沈黙が続いた。
私達は、真っ直ぐ並んで天井を見る格好で布団に入っていた。
私の右腕に洸太の鼓動が伝わってくる。
私は、ウトウトして無意識に洸太の方に寝返りをうった。
洸太の胸の中に体がおさまってしまった。
─ドクン、ドクン─
『…リ…カ?』
呼ばれて顔を上げると洸太の顔が10センチの距離にあった。
私はそっと目を閉じた。
洸太の唇が私の唇に触れた。