月の欠片
愛美の家に入るのは初めてだった。
(一人なのにいいマンションに住んでるんだなぁ…)
801と押してインターホンを鳴らす。
《ピンポーン》
『…圭輔?』
愛美が出る。
『愛美?ゴメン梨花だけど…』
『梨花さん!スイマセン…つい…』
(そうとう参ってるな…)
鍵が開けられた扉を押して中に入る。
エレベーターであがると愛美が玄関の前で待っていた。
(相当泣いたんだなぁ)
愛美は目の周りが真っ赤になって腫れていた。
『大丈夫?』
『心配かけてゴメンなさい…どうしたらいいかわからなくて…』
リビングにあがると、疲れ果ててるのに
温かい紅茶を出してくれた。