月の欠片


『梨花さん!愛美ちゃん!いい加減お客さん待ってますよ!!』


ボーイが私達を呼びにくる。


私が一人でサボっていた頃よりも、愛美も人気が出てきてサボりにくくなっていた。


『『はぁ〜い』』


気だるく返事してから、



『さぁてとっ!今日もガンガン稼ぎますか!!』


『ハイっ!!』


二人で店に戻った。




その日は、二人とも寝不足だったけど

お客さんは切れ間なくやって来て充実したまま仕事を終える事が出来た。



今日一日で色んな事があったけど、


私と愛美にとって、また距離が近付いた大切な日になった。



『梨花さん、お疲れ様です』


『愛美も今日は頑張ったね〜お疲れさん』


『梨花さん…今日…』


『いいよ、話は今度で!今日は二人とも早く帰って寝よ?』


『…そうですね』




私はこの時、愛美が私と洸太の話を聞こうと気遣ってくれてるんだと思っていた。


ちゃんと話を聞いてあげずに、早く帰る事しか考えていなかった。




愛美と別れて、一人で帰る途中で洸太から電話が鳴る。


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