Endless Flower～純粋に、君を…～

『プップーッ！』

広海の家の前に着いてすぐ、車のクラクションを鳴らして着いたことを知らせると、すぐに家の中から階段を駆け下りる音が聞こえて玄関のドアが開く。

そのたびに、幸一の顔が少し綻ぶ。

「も～！お腹空いた～！遅すぎるよ。」

「待ってろなんて一言も言ってねぇだろ。」

「何！？せっかく待っててあげたのに！」

広海の言葉を聞いても喜びを表に出さずにいるが、内心広海が待っていてくれたと冗談でも言ってくれたことが嬉しくて、車を走らせながら笑みがこぼれる。

ただ、広海とご飯を食べに行ったことはなく、好きな食べ物も知らないから、当てもなく走らせているだけで行き先は決めていない。

どこに連れて行くかタバコを吸いながら考えていると、広海が右腕を伸ばす。

「次を右に曲がってしばらく行ったところに喫茶店みたいな定食屋さんがあるんだけど、そこの定職が美味しいの！だから、そこに行かない？」

広海に言われた通りに道を走っていくと、少し古びた外観の店の前に到着した。

夕食の時間前だというのに、中に入ると人で溢れているが、運良く店に入ることが出来て、店の1番奥のテーブル席に座ることが出来た。