【短編】保健医の憂鬱
ヤツは立ちつくす私を無視して上がり込み
リビングのソファに座り
持っていた箱を開けた

中から出てきたのは
ここらでも有名なケーキ屋の
ケーキたち


「あ、高宮、俺コーヒーね。」

そして
なぜか
私にコーヒーを注文してくる


「あんた一体何のつもりよ?」


仕方なく
買い置きしていたアイスコーヒーを
差し出しながら
フォークと皿を置いた

「高宮何食べる?」

「チーズケーキ。」

「ん。」

「ありがとう。
美味しそうね。」





…ってちがうちがう!!

思わずケーキにやられてしまったが
私の質問の答えはまだだ

「小松原、いい加減にしなさいよ。
一体何のつもりよ?」


2度目の私の問いに
小松原はやっと私を見た

その顔は真剣だった

「この前のお詫びだよ。
世話掛けたお礼をしたかったのに
最終的に怒らせたみたいだったから…。

悪かったよ。」


ポンっと私の頭に載る
大きな手

その感触が
心地よくて
温かくて
ドキドキした

「べ、べつに…。
もう気にしてないから。」


「あそう。」


すると手は離れてケーキを突きだす




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