龍とわたしと裏庭で③【黒魔術編】
「何だって? どうしてすぐ言わない――ああ、悪い。最近の僕は相談しやすい相手じゃなかったからね」

圭吾さんはそう言ってわたしを抱きしめた。

「自分の感情をうまくコントロールできない。いっぱしの大人なつもりでいたけど、まだまだガキだ」


「それ以上大人にならないでいいわよ」

わたしは口をとがらせて言った。


「志鶴の分も大人でいなきゃならないんだよ。志鶴がそのままでいいようにね」


「守られるのは嬉しいけど、圭吾さんだけが大変じゃない」


「じゃ、ほんの少し僕を楽にしてくれる?」


「いいわよ」


圭吾さんはわたしにキスをした。


息が切れるような深い、長いキス


「今夜は一緒に寝てくれる?」


「うん」


そんな事で圭吾さんの気が休まるなら


< 10 / 74 >

この作品をシェア

pagetop