龍とわたしと裏庭で③【黒魔術編】

また車に乗って、今度はインターチェンジから高速道路に入った。


車に乗ってからずっと黙っていると、しびれを切らしたように圭吾さんが口を開いた。


「怒ってるんだね?」


答えない


「ゴメン。僕が悪かった――これでいい?」


悪いなんて思ってないくせに


「志鶴?」


「圭吾さん、いったいどれくらい買ったの?」


「彩名に二、三着選んでって頼んだだけだよ」


それなら絶対に上から下まで五セットくらいあるわ


「圭吾さんはいつも行き過ぎなの」


「志鶴に任せてたら何も欲しがらないじゃないか」


「必要ないもの」


「僕のことも?」


「一緒に来てって言ったわ」


「一人で行けるとも言ってた――ねえ、どうして僕らはケンカしてるわけ?」


「してないわよ」


「だといいけど」


ケンカなんかじゃない

――よね
< 29 / 74 >

この作品をシェア

pagetop