龍とわたしと裏庭で③【黒魔術編】

うちのマンションに着いたのは、圭吾さんが言った通り夜の七時過ぎ。


親父は日本を出る前に車を処分していたけど、駐車場の契約はそのままにしていたので、そこに車を停めた。


「この近く駐車場が少ないから、一度契約を切っちゃうと探すの大変なの」


「ふうん。家は何階?」


「五階。エレベーターはあっち」


わたし達はマンションの入口に向かって歩いて行った。


入口の前まで来た時に

「しー?」

道路側から来たジャージを着た男の子に声をかけられた。


げっ! 航太(こうた)だ


「やっぱ、しーじゃん! 帰って来たのか!」


幼なじみの航太は、近寄って来るとわたしの手をがっちりつかんだ。


うわぁ 手首つかむのやめてよ~


「またこっちに住むんだろ?」


だから、離してってぇ


見兼ねた圭吾さんが間に入ってくれた。


「手を離してくれないか? この子、手首つかまれるの嫌がるから」


航太が手を離した。


「誰?」


「従兄の圭吾さん」
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