龍とわたしと裏庭で③【黒魔術編】
エレベーターに乗り込むと、わたしは圭吾さんの後ろに隠れた。


「なぁ、そんなに離れなくてもいいじゃん」

航太が言う。


「だって、あんた髪引っ張るもの」


「いつの話だよ。ガキじゃないんだからそんなコトしねぇよ」


十分ガキよ


「なっちゃんは元気?」


「ああ。毎日元気に勉強してる。勉強だぞ? 信じられっか?」


「なっちゃん、頭いいもの。お医者さんになるんだから」


「まあ、双子とはいえ俺とはデキが違うな」


エレベーターのドアが開いて、わたし達は降りた。


「しーはどうするんだよ。高校出たら。こっちの大学に入らないのか?」


あ……圭吾さんの奥さんになるって決まってるから、進路って真面目に考えたことない。


「大学は――行っていいんだっけ?」

見上げると、圭吾さんがうなずく。

「大学は行く。たぶん。今住んでるところの近くで」


航太は不思議そうにわたしと圭吾さんを交互に見た。


「お前ってさ、その従兄の人んちの子供になったのか?」


「そう思ってくれていいよ」

圭吾さんが言った。

「志鶴はもう僕の家族だから」
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