龍とわたしと裏庭で③【黒魔術編】
奥の部屋から圭吾さんの低い声とパンッと手を打つ音が聞こえる。
何かをお祓いしてるような感じ。
羽竜一族の人達が『本来の仕事』と呼ぶもの
人と土地を守る鎮守の仕事らしいけど、どんなことをするのかはよく知らない。
圭吾さんは前に一度、そういう仕事先にわたしを連れ歩いて苦い思いをしている。
あれ以来、わたしを仕事に連れ歩くことはなくなった。
わたしが巻き込まれて倒れたのは、圭吾さんのせいじゃないのに。
ダイニングテーブルの椅子に座ってぼんやりと考えていると
――あんたは邪魔者なんだよ
心の奥から馴染みのある声が聞こえる気がした。
違う
わたしは邪魔者なんかじゃない
「志鶴? どうした?」
いつの間に戻って来たのか圭吾さんが目の前で手を振っている。
「圭吾さんはわたしが必要なんだよね?」
「そうだよ。急になんだい?」
「時々ね、確認しないと不安になるの」
圭吾さんはわたしの前にひざまずいた。
「君を愛しているよ。胸が痛くなるほど愛している」
わたしは圭吾さんの首に腕を回して、頬に頬を寄せた。
「大好き」
何かをお祓いしてるような感じ。
羽竜一族の人達が『本来の仕事』と呼ぶもの
人と土地を守る鎮守の仕事らしいけど、どんなことをするのかはよく知らない。
圭吾さんは前に一度、そういう仕事先にわたしを連れ歩いて苦い思いをしている。
あれ以来、わたしを仕事に連れ歩くことはなくなった。
わたしが巻き込まれて倒れたのは、圭吾さんのせいじゃないのに。
ダイニングテーブルの椅子に座ってぼんやりと考えていると
――あんたは邪魔者なんだよ
心の奥から馴染みのある声が聞こえる気がした。
違う
わたしは邪魔者なんかじゃない
「志鶴? どうした?」
いつの間に戻って来たのか圭吾さんが目の前で手を振っている。
「圭吾さんはわたしが必要なんだよね?」
「そうだよ。急になんだい?」
「時々ね、確認しないと不安になるの」
圭吾さんはわたしの前にひざまずいた。
「君を愛しているよ。胸が痛くなるほど愛している」
わたしは圭吾さんの首に腕を回して、頬に頬を寄せた。
「大好き」