龍とわたしと裏庭で③【黒魔術編】

「志鶴の家はここだよ」


「そうじゃなくて、元いた家のことよ」


「僕は知らないうちに何か悪いことをしたんだろうか?」

圭吾さんはかすれた声で言った。


何の事?


「来月の連休の時に帰りたいの」


「ダメ」


「ダメ?」


「絶対にダメだ!」


圭吾さんはテーブルをたたいて立ちあがった。


「お仕事、忙しい?」

思わず声が震える。

「一人でも帰れないことはないけど……」


圭吾さんは気を落ち着けるように深呼吸をした。


「一人ではどこにも行かせないよ」

感情を押さえた静かな声。

「いったい何が気に入らないんだ?」
< 4 / 74 >

この作品をシェア

pagetop