龍とわたしと裏庭で③【黒魔術編】

目が覚めるとあたりはすっかり明るくて、わたしは一人で寝ていた。


「圭吾さん?」


「こっちにいるよ」


居間の方から声がする。

パジャマのまま起きていくと、なっちゃんと航太がいた。


「おはよう、しーちゃん」

なっちゃんが笑顔で言う。

「お母さんが朝ご飯持ってけって。しーちゃんはすぐ気を使うから一緒に食べておいでって。トーストとハムエッグの材料あるの。作って!」


今まで何度となく気詰まりだったお隣りのおばさんのお節介が、なぜだか優しく思える。


「っていうか、夏実が料理すれば?」

航太があきれたように言った。


「わたし、できないもん」


「ったく! しー、着替えて来い。手伝うから」


「野郎だけで出来ると思うよ」

圭吾さんが微笑んで言った。

「もう一人手伝いが来たみたいだし」


圭吾さんがそう言ったとたん、チャイムが鳴った。


誰?


ドアの向こうにいたのは――悟くん?


わたしは急いでドアを開けた。


「おはよう、しづ姫」


悟くんは圭吾さんの父方の従弟で、わたしの友達。


「圭吾は?」


「中。入って」

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