龍とわたしと裏庭で③【黒魔術編】
「圭吾さんは、とっても優しいわよ」


「ありゃ食わせ者だと思うぞ」


「その意見に異論はないよ」

キッチンの入口から悟くんが口を挟んだ。

「しづ姫、圭吾が出かける」


「はぁい」


圭吾さんはビジネススーツ姿だった。


わぁ ステキ


いかにも大人っぽくて、頼りがいがありそうに見える。


「さっきも言ったけど、二、三時間で戻って来るから。外出しちゃダメだよ」


「分かった」


「悟の言うことをちゃんときいて」


「もう! わたしは幼稚園児?」


「保育園児だ」


圭吾さんはそう言ってわたしの唇にサッとキスをした。


圭吾さんのバカ


「じゃ悟、後は任せた」


「了解!――ああ圭吾、これは司兄貴から」

悟くんは腕からブレスレットを外して圭吾さんに投げた。

「朝早くから僕が母に書き置き書いてるのを見て、それを二つくれたよ」


「これはこれは。帰ったら礼を言わなきゃ」

圭吾さんはそう言ってブレスレットを手首につけた。


悟くんの腕にもまだ一つある。

白い石のブレスレット

よくある貴石の玉をつなげたようなブレスレットだけど、いったい何の石?
< 49 / 74 >

この作品をシェア

pagetop