龍とわたしと裏庭で③【黒魔術編】
呪縛

数時間たって帰って来た圭吾さんは、黒とオレンジ色の包装紙でラッピングされたチョコレートの箱を二つ手にしてた。

リボンの代わりに小さなジャック・オ・ランタンがついている。


「夏実ちゃんと志鶴に」


わたしとなっちゃんは歓声をあげた。


「野郎にはお土産無し?」


悟くんが言うと、圭吾さんは箱入りのポテトチップスをテーブルの上に乗せた。

こちらも黒とオレンジ色の特別パッケージだ。


「なんで全部黒とオレンジなの?」


悟くんが首をかしげる。


「だってもうすぐハロウィンだよ」

わたしが言った。


「それ、外国のお祭りだろ?」


「最近はクリスマスみたいに、日本でもハロウィン関連の物がお店に並ぶのよ」


「企業の陰謀だよ」

って圭吾さんが言う。

「バリバリの神道の我が一族には縁のない話だね」


「ひょっとして、クリスマスもやらないの? クリスマスツリーもなし?」


圭吾さんがグッと言葉を詰まらせた。


「だいじょうぶだよ」

悟くんがニヤリと笑う。

「今年は圭吾がでかいツリーを買うから。たぶんしづ姫の身長よりでかいやつだよ」


「インターネットで注文しておいた方がよさそうだな」

圭吾さんがつぶやいた。

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