龍とわたしと裏庭で③【黒魔術編】
「二人で話して。僕は夏実ちゃんのところに座るから」
悟くんは立ち上がると前の方に歩いて行った。
「大人げなかった」
圭吾さんはうつむいたまま言った。
「どうすれば圭吾さんは安心するの?」
「完全には無理だよ。君の雷恐怖症と一緒だ。自分の恐怖心を理解して、受け入れるしかない」
ただのヤキモチじゃないの?
「怖いの?」
圭吾さんがうなずく。
優月さんはそんなにこの人を傷つけたの?
「わたしが側にいたら、いくらかマシ?」
「君が側にいてくれるなら何もいらない。それなのに僕には不安要素ばかりある」
圭吾さんは顔を上げてわたしを見た。
「僕はこうやって旅行はできるが、別の土地に住む事は許されない。もし君が別の土地の大学に行きたいって言ったら? もっと都会に住みたいって言ったら? お父さんみたいに海外で仕事をしたいって言ったら? 僕はどうすればいい?」
「行くなって言えば?」
「僕には言えない」
「いつもみたいにズルすればいいじゃない」
「そうだね。でも、きっと最後には諦めて君を行かせるだろう」
涙がこぼれそうになった。
わたしは咳ばらいすると前を向き、圭吾さんの腕に自分の腕をからめた。
悟くんは立ち上がると前の方に歩いて行った。
「大人げなかった」
圭吾さんはうつむいたまま言った。
「どうすれば圭吾さんは安心するの?」
「完全には無理だよ。君の雷恐怖症と一緒だ。自分の恐怖心を理解して、受け入れるしかない」
ただのヤキモチじゃないの?
「怖いの?」
圭吾さんがうなずく。
優月さんはそんなにこの人を傷つけたの?
「わたしが側にいたら、いくらかマシ?」
「君が側にいてくれるなら何もいらない。それなのに僕には不安要素ばかりある」
圭吾さんは顔を上げてわたしを見た。
「僕はこうやって旅行はできるが、別の土地に住む事は許されない。もし君が別の土地の大学に行きたいって言ったら? もっと都会に住みたいって言ったら? お父さんみたいに海外で仕事をしたいって言ったら? 僕はどうすればいい?」
「行くなって言えば?」
「僕には言えない」
「いつもみたいにズルすればいいじゃない」
「そうだね。でも、きっと最後には諦めて君を行かせるだろう」
涙がこぼれそうになった。
わたしは咳ばらいすると前を向き、圭吾さんの腕に自分の腕をからめた。