九弦堂のザッハトルテ
1個
褒美には渋く輝くザッハトルテ‼
最後の1個が進呈されようとしている
もう望みのない列は解散し
わたしの独壇場…
ん?
…なに?
なんなの?
どうして居るの?
もう1個しかないのよ?
それも正当に行き渡った1個
わたしは財布を忘れてもいないし
買わないといけない‼
そ、それなのに
後ろの親子連れはなに?
守護霊?
今時の守護霊って親子なの?
なにか言いたげな母親と
今にも泣きそうな娘
向き直ったわたしと
ザッハトルテ…
「あの、1個下さい」
頼みにくいわ‼