だけど、俺は教師でお前は生徒

やっと全部の採点を終わらせた頃には、



校舎はすっかり静まりかえっていた。



「三嶋先生っ」



廊下を歩く俺の背中に誰かが声をかけてきた。



振り向いた俺の目に映ったのは、



「……堀池先生」



少しうつむくようにして俺を見つめる堀池先生だった。



あれ？？　さっき帰ったんじゃなかったのかよ。



ふと、大きなため息をつきそうになった。



「どうしたんですか？？もうお帰りになったと思っていました」



「……はい。そのつもりだったんですけど……」



そう言いながら、堀池先生は、ゆっくりと俺のほうに足を進めた。