だけど、俺は教師でお前は生徒
「三嶋先生が好き……」



耳元で聞こえる甘い声と吐息。



俺は最初こそ顔をしかめたが、その後は何も反応をしなかった。



そう、まさに、されるがまま……。



そんな感じで、俺は黙って車を加速させた。



何度も何度も感じる堀池先生の柔らかな唇の感触。



けど、俺にはそんなもの、何の意味もなかった。



普通の男なら、こんな状況は喜んで興奮するのかもな。



俺の脳裏に浮かぶのは、ただ、ひとり、澤村のことだけだったから。

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