だけど、俺は教師でお前は生徒
「この先の信号を右に曲がった所で車を停めますね」



堀池先生を送るのは、初めてだったが、



この辺は、俺がまだ大学生だった頃、



よく通っていた場所に近かったから知っていた。



久々に見る景色が目に入る。



そして、その景色は、少しずつ忘れかけていた俺の記憶を取り戻していく。



あの頃の俺。



あの頃の俺の願い。



当時の俺は塾の講師のバイトをしながら、とにかく金を貯めていた。



多かった女友達とも遊ぶこともなく、



ひたすら勉強とバイトの毎日を過ごしていた。



そして、その忙しい合い間に、俺が通い続けた所。




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