だけど、俺は教師でお前は生徒
好きで好きで、たまらなく好きになったのは俺のほう。



ほとんど俺の気持ちの一方通行だった。



当時、その女の住んでいたマンションがこの近くにあった。



時間があれば足を運び、俺の気持ちを伝えた日々。



でも、もうその女はいない。



……この世にいない……っていったほうが正しいか。



俺の兄貴の婚約者だったその女。



初めて兄貴から紹介された時、



“はじめまして。あなたが陽斗君?”



そう言って、微笑む彼女を見た。



その途端、俺は心の奥に電流が走ったような感覚になった。



彼女と目が合った次の瞬間には、



俺はこの女を好きだと感じた。
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