だけど、俺は教師でお前は生徒
取り戻せない大切な感情。



突然、俺の前からいなくなってしまった愛しい彼女。



彼女の笑顔。声、肌の温もり。



全部が俺のすべてだったから。



彼女を失った時点で、もう俺には恋愛なんてものはどうでもいいものに変わってしまったんだから。



俺の中で渦巻いていた記憶を、今日は少し思い出してしまったからかな。



すぐにでも帰って一人になりたい気分だった。



「それでは俺はここで失礼します」



「……三嶋先生っ」



まだ何か話したそうな堀池先生を横目に、俺は素早く車に乗り込んだ。
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