だけど、俺は教師でお前は生徒
家に帰ると、そのままベットへと倒れこんだ。



疲れた。そう、ただそれだけ。



堀池先生の態度に疲れただけ。



この脱力感はいつものことだ。



過去を思い出したことが原因じゃない……。



無意識にそう自分に言い聞かせる自分に気づく。



でも、これが本当の俺。



教師としての俺は、自分で自分の理想像を演じてるだけだから。



だからこうして家に帰ると、ホッとする。



教師になったきっかけは、兄貴に言われた言葉だった。



“教師になれよ。陽斗が学校の先生になれば、父さんも母さんも安心だろ?”



その言葉をきっかけに、俺は教師を目指すようになった。



兄貴へのこの複雑な気持ちは、あれからずっと変わってないから。
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